第8章 ふたりの嘘
「大っきいんですね、手」
この手でいつも、色々されてたんだ。
そんな事を思い付いてしまい、顔が熱くなった。
「ん? 何エロい事考えてんだ」
「!考えてません」
あんたすぐ顔に出んだよ、くくと笑われながらも歩いていると潮の匂いがしてきた。
街から歩いて約15分程。
デートスポットにもなっているそこはそろそろ港沿いのお店の明かりも灯り見掛けるのも若い人の数が多い。
当てもなく港沿いを歩きながら色々な話をした。
彼は私より5歳上だという事。
そして仕事は、なんというか。
『 言うことを聞かないペットの調教なんかをやってる』
今までタチの悪い冗談かと思っていたら。
何でも、警察庁独立の法人団体で動物の調教をするものがあるそうだ。警察犬、盲導犬、施設動物や家庭のペット等多岐に渡ると。
「今は現場に出る事も少ないけどな。デスクワークは体が鈍るから性に合わねんだけど」
「ああいうのって、物凄く体力要るんじゃないんですか」
「だな。50キロ程あんのもいるし、引っ張られるんじゃ話になんないから定期的に鍛えてはいる」
それであの体。
確かに手も少しごつごつしていて普通のサラリーマンみたいな感じではない。