第6章 二夜…裏腹な私と彼
触れ、と言われても直ぐにどうにかなってしまいそうで、実は先程から時々触れる程度だった。
手が止まってると言われて恐る恐る指を当てて下から軽く押し上げてみた。
やっぱりそれだけでも声が上ずってしまう。
「っ、でも、動かすと……」
「そうするとこっちも、指でもキツいな。後からまた挿入れたら触ってやるからもっと濡れろよ」
この人って。
多分、思った事そのまま言っちゃうタイプ、なのかな。
入り口付近で遊ばせていた指先が感触を楽しむみたいに動いていた。
それがくにくにと周囲を広げる。
「んっ…ふッ」
隙間に滑り込んでもう少し、入ってくる。
「で、ココも好きだったろ」
中の壁を撫でてくる。
前に私が達してしまった所、だ。
あれを覚えてたのだろうかと想像すると顔が熱くなった。
「…んんッ」
「旭、声我慢しててもいいから顔、こっち向けろ」
片手を口に当てていたが仕方無く彼の方に視線を向けた。
だけど彼はそれでは足りないらしい。
空いた方の手の先で摘んだ私の顎を上げさせて自分の方に寄せる。
見詰められながら、シーツが忙しなく盛り上がっているのが視界の端で見て取れた。
穏やかでもあり愉しそうでもあり少し濡れたみたいな黒い瞳。
そうやって目を逸らしてでもいないともたない。
「顔も蕩けてんな。可愛くて堪んね」
「…はっぁ、ん」
顔の角度的にそんな鼻にかかった声が出てしまう。