第6章 二夜…裏腹な私と彼
固まったまま動けなかった。
「おい、またそんなに煽るからこっちも止まんなくなるんだって」
「…………」
「でも今は泣くより別の旭が見たい。 濡れてたんだろ」
そして再び理不尽な事を言われている、と思う。
だけどこんな時の彼には逆らわない方がいいと私の本能は既に学習していた。
「はい……とても」
「いいよ、それで。 もう一回触ってみ」
そうなると仕方無くこちらもそうしなければならない羽目になる。
なので大人しく、そうする。
シーツの隙間に手を戻した。
「ちゃんと直接、な」
くち。
今の。指先に触れた際の音が遥さんにも聞こえた筈だ。
慌てて俯くと普通に声を掛けてきた。
「旭って、触んなくてもイッたらクリトリスもおっきくなんのか」
だから何でこんな恥ずかしい事を聞いてくるのか。
というか、そもそも。
「知らない、です」
「教えて。 触って」
生徒か何かが教えを乞うような言い方。
私をからかっている訳ではないらしい。
「…ッ……は、い。でも、大きく…?」
「旭の、全く普通ん時は触っても分かんないからな。 無理矢理広げて剥かないと。 でも、ふーん。やっぱエロいな」
妙な事で妙な納得をしている。
淡々とそんな事を話す彼の方が余程イヤらしいのに。