第6章 二夜…裏腹な私と彼
そうされる度に反り続ける上体は彼にもっとと強請っているみたいだった。
そんな私に躊躇無く彼が舌を伸ばす。
ダメ、いつの間にか私はそう繰り返していた。
体が熱くなる。
ぎゅ、とお腹の奥がすぼまった。
そして彼の腕の中で震え出し、固く目を閉じひくんひくんと余韻が残る。
こないだのよりは少し軽い、けれどじわりと力の抜ける感じ。
はふ、と吐息をつく私を遥さんが見下ろしていた。
「…旭、今イッたか」
「イっ、てない」
「いや、でも今」
「ッってません!」
何に対する強情だよ、遥さんは思わずといった調子でぶっと吹き出した。
「…………」
だってこんな、胸でなんて。
それに言わなかったから、また怒らせてしまうかも。
そんな不安も抱えつつ憮然として彼を見る私に声を出して笑っていた。
そんなに言うんなら身体検査してやるよ、彼は言って背中の真ん中を指でつつ、と下から上へと滑らせた。
「嘘だったらもっと苛める」
「ぁう」
うなじにかかった爪先が軽く引っ掻くように耳許に移動した。
小さな束にした髪を少しづつ耳にかける。
その度にその周辺を猫か何かを撫でるようにくすぐってくる。
「やっぱりもう熱いな、体。 それにまだ震えてるのは何でだ …そんなに怖いのか?」