第6章 二夜…裏腹な私と彼
そしてそう言った彼はちっとも有難そうではなかった。
とはいえ、本当の事だと思うんだけれど。
性格は少し、いやかなり危ないけど。
仕事も何をしてるのかよく分からないけど。
少なくとも遊ぶ相手には不自由しなさそうだと思う。
「食ったらこんなとこ出るからな」
やはり彼自身もこういうお店は好きではなさそうだった。
だからといって出るからまた飲み直そう、というような雰囲気でもない。
それならば。
もう一つ、応えてくれるだろうか。
目線を下に落としながら、小さな声しか出せなかった。
「あの……動画を消して下さい」
「旭、今度は俺を怒らせるな」
「…………」
理不尽過ぎると思う。
怒ったって私が悪い訳じゃない。
やっぱりこんな人は信じられない。
脅されて、こうなっている。
それは事実だ。
だけどそんなのが理由になるのだろうか。