第4章 一夜…恐れと嗜虐
数秒の後、しばらくの間びくびくと震えている体を男は抱いたまま離さなかった。
尚もずず、ずずっ、と摩擦を与えられる私の足の付け根からさらさらとした液体が伝った。
「はっ……は」
「イッたのか」
はくはくと酸素を求めるだけの私に業を煮やしたのか、ずんと突かれる剛直。
「っひ!」
「旭、イク時はちゃんと言うんだ」
その行為とは裏腹に、彼は愛しいものにそうするように甘い声音で私を諭した。
そしてゆらゆらと揺らしながらその屈服の証を強要してくる。
「旭」
「も、もぅ…イッた、の。 だ…からっ」
力無く訴える私の両側に手をついて覆い被さった彼が体を進めてきた。
「あぁぁああッ…」
収縮を繰り返す私に抗い、今度はすぼまっていた奥の方を捏ねて全体を拡げてくる。
大きな圧迫感は相変わらずだったけれどそれは最初の時よりもずっとスムーズで、無理な抵抗を感じる事も無かった。
それを感じ取っているのか男の方も止めずに侵入を続ける。
「…ッくぅ」
そうすると珍しく、彼の方も気持ち良さげな声を漏らしていた。
男がまだひくひくと震えている私の腿に手を添えて緩やかな動きを送り込み始める。
「あ、もぅ、……ぁ、あぁ…だめ」
そうやって荒い息を堪え切れず吐きながら交わし合う肉の交わり。
これがセックスというものなのかと私は今更に思った。