第3章 攫われて
また叩かれるかと身構えた私が体を強張らせる。
だけど男はすりすりと大きな手をそこに当ててきた。
「……離して、下さい」
当然の様にそんな言葉は無視された。
一方男が撫でるその感触は優しくて、耐えがたい苦痛を受けた私の薄い皮膚を敏感に刺激した。
体の奥がジンと熱くなってくる。
男が私の腰を上げると、おそらく真っ赤になっている筈の私のお尻に顔を寄せてそこに口付けた。
「やっ…」
今度は柔らかな唇に驚いて身を竦ませた。
それに…。
横からとはいえベッドに突っ伏しお尻を高く掲げた、これは最初に命令されたのと変わらない恥ずかしい姿だ。
「…っぅ」
痛みに力が抜けて丸出しになってしまっていた足の間にする、と何かが差し込まれた。
「濡れてる」
そんな事実だけを淡々と無情に呟かれ、それが彼の指だと気付いた。
舌で熱を覚ますように臀部の薄い肌を濡らし、二本の指先が確かめるように私を探ってくる。
私には信じられなかった。
その動きは滑らかで、確かに潤っているのだと。
「コレが気に入ったのか」
違う。
「あぁ……」
信じられなかった。
意思に反して漏れ始める甘ったるい自分の声も。
男は肌から唇を離し、私の入り口を二本の指で遊ばせるように動かしながら呟いた。
「旭、可愛いな」