第3章 攫われて
「こんな事、許されない……犯罪でしょう」
「また俺に反抗するのか?」
「…………」
四つん這いに………
初対面の人の前で裸である事実も耐え難いのに、そんな屈辱的な格好はどうしても出来なかった。
今でさえ、隠しきれていないとはいえ両の手で必死に肌を覆っている。
眠っている時に見られたのだろうけど、自らあんな部分をさらけ出すなんて。
上半身が裸になった男の方をそおっと見たが先ほど思った通りだ。
体には隆起した筋肉が逆三角形の体格を作っており、とても力では適いそうになかった。
逃げようとしてもこんな狭い部屋ではすぐに掴まるに決まっている。
逡巡している間に男が焦れた様にため息を吐いてベッドに上がり私に近付いた。
「あっ……きゃあ!」
うつ伏せの私を横抱きに抱えられたのは一瞬だった。
その後で男が自分の足の上に私を乗せる。
「嫌…いや? ぁッ」
そこから逃れようとした膝を曲げた時、大きな破裂音と熱をお尻に感じた。
叱られた子供の様にお尻を叩かれたのだと理解をする前に、もう一度ピシャリと手のひらで打たれる。
「痛い! 」
打たれた時の衝撃は勿論、その後にじんじんと熱を持つ肌。
三度目でまだ熱いその部分を更に男の人のがっしりした手で張られた。
「きゃぁっ、止め…ッ」
四度目。
心は強く保っていた筈だった。