第39章 ホテルの鬼
杏「そういう事ならすぐに会社から連絡が来るだろう。」
利「それが『そちらのホテルに泊まる予定ではなかった筈だ』『名前が違うがどういう事だ』と皆様仰られまして…そのせいもあると思いますがとにかく発見に時間が掛かる事が多いのです。警察の方ももちろんこちらにいらっしゃいましたが、余りにも何も見つからない上 先週大きな事件が起こった等と仰って…今日はいらっしゃってすらいません…。」
杏「なるほど!!それは好都合だ!!!」
杏寿郎は案内された部屋の空気をビリビリと震わせた。
その言葉に利信は不安そうな顔になる。
杏寿郎はそれに気が付くとソファに座りながら腕を組み 太陽の様な笑顔を浮かべた。
杏「おかしな事はしないと約束する!!ただ、警察とは少し相性が悪いというだけだ!鬼についてだが、恐らく日が沈んでいる間にこのホテルに誘い込んでから襲っているのだろう!如何いった理由かは解らないが鬼の思考など理解したくはないしな!とにかく貴方は安心して俺達に任せてくれ!!」
「がんばります!!」
桜がそう笑みを作りながら拳を握ると まさか桜も参加すると思っていなかった利信は酷く心配そうな目をした。
利「部下の方は…フロントから近いお部屋を用意しますので…、」
杏「妻だ!!そして彼女は決して弱くない!!!」
「…きょ、杏寿郎さんん………、」
『弱くない』と言われた桜は思わず嬉しさから杏寿郎の腕を掴んで声を震わせた。
その反応を見て杏寿郎が微笑ましそうに桜の頭を撫でると 利信は『理解できない』というような顔をした。