第39章 ホテルの鬼
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「失踪した方はみーんなニ階より上のお客さま…かあ。ふむ。」
そのホテルは四階建てで周りの建物に比べると高く、とても目立っていた。
と言っても一階にはロビーとレストラン兼カフェのような場があり、客室は殆ど無い。
「うん…!犯人は一、二階で悟られずに人を攫う自信が無いと見た!」
桜がそう言いながら杏寿郎を見ると 少しいつもと様子が違う桜に杏寿郎はこてんと首を傾げる。
その不思議そうな視線を受け、自身がシャーロック・ホームズの様な格好の杏寿郎に影響を受けて推理をしようとしていた事に気が付き真っ赤になってしまった。
「………生まれ変わったら訳をお教えしますね。」
杏寿郎は謎は残ってしまったがその "約束" が嬉しかった様でにこっと笑って良い返事をした。
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杏「鬼が居なければ…陽の入る建物だったら…、」
「不謹慎ですよ。」
杏「だが……見てくれ。」
杏寿郎は自身に用意された部屋のベッドに両手をつくとぐっぐっと力を込めた。
そうするとギッギッとベッドが軋む。