第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
それを見て桜は慌ててなんとか助け舟を出そうとした。
「せん、」
杏「千寿郎が選ぶ道は正しい物であると俺は信じている!!そして父上も正しいと思われれば必ず認めて下さる!!千寿郎、何時如何なる時でも簡単に諦めずに認めて貰える迄頑張れ!!俺は全力で応援するぞ!!!」
そうビリビリと響く激励の言葉を送り、二人の事を信じて太陽の様な笑みを浮かべながら にこにこと腕組みをする杏寿郎に槇寿郎は毒気を抜かれると息をついた。
対して千寿郎は ぱああっと明るい笑みを浮かべると勢い良く頷く。
千「はいっ!!」
そして桜の空気が昨日と違って自然な柔らかさになっている事にも気が付く。
それに心底ほっとすると桜の側に寄って微笑みながら片膝をつき 耳元に口を寄せた。
千「僕は兄上に及びませんが、また辛くなったらいつでも言ってください。だ、抱き締めても構わないので…。」
こっそりとそう言うと桜は心底嬉しそうに微笑んで礼を言い、千寿郎の炎色の髪を優しく撫でた。
その時――、そんな幸せな空気を壊す様にケンタと要が廊下からけたたましい声と静かな声を交互に出した。