第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
杏「桜…すまなかった。もしや自分を治しながら俺に付き合っていたのか。壊れるとは…一体……、」
「疲れますが壊れはしません。でも槇寿郎さん、思い遣って頂いてありがとうございます。」
そう言って嬉しそうに微笑む桜を見て桜が治療せずに杏寿郎に付き合えていた事を知った槇寿郎はまた絶句する。
槇「もういい。そろそろ千寿郎が厠から帰ってくる…。この話は終いだ。」
そうして心配そうな杏寿郎が困ったように笑う桜の背を優しく撫でているところに従業員と楽しく会話しながら千寿郎が帰ってきた。
千「送って頂いてありがとうございました。」
戸を少し開けてから部屋へ入る前に千寿郎が何気なくぺこりとお辞儀をすると四、五人居た従業員が慌てる。
千寿郎はそれにきょとんと首を傾げるも また皆に微笑んで礼を述べてから部屋へと入った。
槇「……千寿郎、偉そうにするものでもないが 客としてきているのだからぺこぺことする必要もないのだぞ。ましてやただの従業員に。」
(槇寿郎さん前の時代でモテない。千寿郎くんはモテる。)
桜は心の内でそう呟いた。
千「善意で…お仕事でもないのに僕をここまで送ってくれたのでそうしました…。ですが父上がそう仰るのなら次からは気を付けます。」
人格者が発する様な事を言われると槇寿郎は ぐっと眉を顰めて困った様な顔になる。