第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
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槇「杏寿郎、桜…。いや、杏寿郎。後で言う事がある。家に帰ったら俺の部屋へ来い。」
その怒っている様な呆れている様な、それでいて心底疲れた様子の声音に杏寿郎は首を傾げ、桜は顔を伏せた。
(一体どこまで…誰まで…………、)
槇寿郎は堂々と笑みを絶やさずに良い返事をする杏寿郎から視線を外し、冷や汗を流す話が通じそうな様子の桜を見つめると小さく息をつく。
槇「桜、お前は何についてか分かるだろ。少しどうにか出来ないのか。お前の旦那になる男だ、お前が諌めるしかあるまい。」
それを聞いた桜は口を薄く開いて固まった後、涙を滲ませながら眉尻を下げた。
「私も頑張ったんです…。ですが、『次で止めると約束する!!』ってこの真っ直ぐな目で何度約束されたと思いますか…?十八回ですよ……。」
それを聞いた槇寿郎は絶句した。
確かに二人の行為に及ぶ時間が異常に長い事は知っていたが、戯れ合っている時間が長いのだと思っていたのだ。
しかしそれがほとんど行為自体の長さであったのだと知ると桜の泣きそうな顔に同情し 思わず眉尻を下げる。
槇「は、反省するのは杏寿郎だけで良い。杏寿郎、もっと桜を大事にしろ。普通ならとっくにその華奢な体は壊れているぞ…。」
その言葉に杏寿郎は目を見開いた。
そしてバッと隣の半泣きになっている桜を見つめる。