第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
しかしすぐに眉尻を下げて困ったように微笑むとこてんと首を傾げた。
その計算ではないあざとい仕草に桜の眉尻はあからさまに下がる。
杏「参ったな。俺はもう君を愛す事が出来ないのだろうか。君は恥ずかしがり屋だからな。脱がしても脱がしても着てしまうだろう。」
そう言いながら試すように羽織りを脱がすと慌てた桜は言われた事をなぞるように無かった事にしてしまう。
それを見てやはり杏寿郎は残念そうに微笑む。
杏「この調子では君がその気にならねば愛せないな。尤も、君が自ら服を正さない時は我慢ならない程に中が疼いているという証拠にもなってしまうのでそれもまた楽しみではあるが。」
そう言いながら杏寿郎が優しい笑みでこつんと額を合わせると桜は真っ赤になる。
(服……戻さないハードルがすごい上がっちゃった……そんなの…余計恥ずかしいじゃない……。)
そう目を泳がせて眉尻を下げていると杏寿郎に甘く頬を撫でられてビクッと体を揺らす。
顔を離した杏寿郎は優しく微笑んでいたが、どこか面白がるような目をしていた。
杏「愛する時に限っては服をこの様に戻す事は禁ずる…という決まりは互いにとって良い物なのではないか?」
それに桜は黙ってこくこくと頷いて同意を示した。
杏寿郎はその様子を見て満足そうに太陽の様な笑みを浮かべると上体を起こして腕組みをし、待つように首を傾げた。