第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
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槇「………千寿郎、無事帰ってきたか。」
千「おはようございます、父上!」
千寿郎が部屋に帰ってくるとどこか窶れた槇寿郎がのそりと起き上がった。
その様子に少し首を傾げたが、千寿郎は槇寿郎を朝風呂に誘って部屋を出た。
槇「千寿郎は何も感じないのか。」
千「………何のことですか?」
千寿郎が心底不思議そうな顔をしているのを見て槇寿郎は深く安堵の息を吐いた。
槇(俺は心労以外何ともないが…、桜はなんなのだ。目に入る男全て…、)
桜を心の底から骨の髄まで娘の様に思い遣っている槇寿郎と年端もいかぬ千寿郎は幸運な事に何も影響を受けなかったが、桜の色香は旅館全体を巻き込む惨事を引き起こしていた。
自身の髪の色を見てバッと立ち上がる鬼殺隊士に苦々しそうな視線を送ると それと共に見たくなくても目に入る元気なソレ。
槇(杏寿郎が以前色香がどうのと言っていたな。しかしこれは本当に異常だぞ。任務になど行かない方が良いのではないのか。大体男だらけの場にあの様な非力な若い女が……、)
槇寿郎の険しい顔に千寿郎はまだ体がどこか悪いのかと眉尻を下げる。