第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
杏「俺が怖いか。」
そう問われると桜は自身が確かに杏寿郎へ恐怖を抱いている事を認識し少し首を傾げる。
「……………恐らくですが…先程、杏寿郎さん…殺気を放ちました…。」
それを聞くと杏寿郎は目を大きくさせた後ほっとしたように少し微笑んだ。
杏「なるほど、そういう事だったのか。それはすまなかった。どうやら気が荒ぶったままの様だな!」
「い、いえ…私もすみませんでした。杏寿郎さんの仰っしゃる通り、自暴自棄になっていたのだと思います…。反省します。なので……、」
そう言いながらくるっと体を半回転させて四つん這いになると桜は逃げられないと分かりながらも泣きそうな顔で再び杏寿郎の下から出ようとする。
しかし当然のことながら満面の笑みの杏寿郎もまた再び容易くずり戻す。
「…っ……ど、どう考えてもだめです…!槇寿郎さん達が起きてしまわれたらどうするつもりですか…!」
杏「心配するな!!父上に桜の身を案じられた事がある!その際の質問から察するに、恐らく俺達の愛する頻度や時間をご存知だ!!昨夜あの部屋で愛せなかったのなら今日の朝に爆発する事も想定していらっしゃる事だろう!!!」
「そ…そんなこと想定されているのも耐えられません…っ!!」
―――
地鳴りにも近い杏寿郎の声は建物を通じて寝たふりを決め込みながら耳を澄ませていた槇寿郎の元にも響いた。