第7章 炎柱様への提案
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襖が閉まるのを見届けてから千寿郎を見ると目が合う。
そして二人で気が抜けたように、はぁーっと大きく息をついた。
千「そういえば桜さんがどんな力で協力しようとしてるのか聞いてませんでした…。癒やしの力なのですね。」
そう言う千寿郎はまだ驚いた顔をしている。
「ほんとだ。言っていなかったね。」
気が抜けた桜はへにゃっと笑いながら答えた。
千「すごい力ですが……、」
千寿郎は先程の兄の言葉を思い返す。
千「…僕はかなり楽観視していたようです……。」
そう言うと千寿郎は俯いてしまった。
完全に解放感に身を委ねていた桜はそれを見て目を見開いて慌てる。
「そ、そんな…何で千寿郎くんが落ち込むの!」
ふわっと人の姿に戻ると急いで駆け寄り、千寿郎の前に膝を着く。
「…私も楽観視してたと思う。地獄絵図を見る覚悟は決めてたけど、自分が標的になる自覚はなかったや。考えが足りなかった…。」
そう自分で言うと桜は苦笑した。
そしてすぐにスッと真剣な顔になる。
「……でも、考えるまでもないよ。この為だけに来たんだもの。」
「それにね、ユキの意思がなくてもこの力を持っている限り、私は人を助けたよ。―――これは私の使命なんだ。」