第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
「そ、そろそろ…全部出たと思います……。」
そう言って桜が下を見ると杏寿郎は口を抑えられたまま指を軽く入れて出口を塞いでいた白い気泡を潰した。
「……ッ、」
するとまたどろりと白濁した液体が出てくる。
桜がそれに赤くなって思わず手を離すと杏寿郎は少し呆れたように首を傾げた。
杏「やはり一人厠に行かせなくて正解だったな。」
―――
一方、煉獄家の部屋では千寿郎が目を覚まし ぼんやりと部屋を見渡していた。
父親はまだ寝ていたが兄と姉が揃って布団から消えている。
一緒に散歩にでも出掛けたのかとも考えたが、昨日の桜の様子から嫌な胸騒ぎを覚えると急ぎ廊下へ出た。
すると興奮した様子の女の声が複数聞こえてくる。
女「杏寿郎様と桜様が!?」
女「うん!やっぱり鬼狩り様の噂通りなんだわ!朝からあんなにも熱烈な、」
千「兄達が…どうしたのですか…?」
千寿郎がそう問うと女達は体を跳ねさせた。
そして噂の主とそっくりではあるものの、眉尻の下がったまだあどけなさを残す千寿郎にぎこちなく微笑んだ。