第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
「わ、私は……、やっぱり…だめです。杏寿郎さんは絶対受け入れてくれるって…思うけど…、でも、やっぱりあまりにもわがまますぎる…。離して…都合が良すぎて自身を許せそうにない……。」
杏寿郎は眉尻を下げながら様子のおかしい桜を振り返った。
杏「何の話だ。少し落ち着、」
心配して頬に触れようとした杏寿郎の手を桜が払う。
静かな館内にパシンッと乾いた音が響いた。
それは明白な拒絶だった。
「…………す……すみません、私…、別の部屋を用意してもらいます…。」
桜はそう言うと驚いて手を放した杏寿郎の脇を通り過ぎようとした。
杏寿郎はその行動に眉を寄せると すれ違いざまに桜の腕をガッと掴み、自身に引き寄せるように引っ張る。
だが、桜は怯むことなく目を合わせずに只々抵抗をした。
そのいつもと違う様子に杏寿郎は険しい顔をする。
杏「こういった状況を有耶無耶にしておくつもりはないぞ。何があった。」
「離して下さい。杏寿郎さんにもどうにもできない事なんです。」
それを聞き、杏寿郎はもっと険しい顔をする。