第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
杏「一人で外に出たのは何故だ。風呂の時もそうだったが今までは怖くてこの様に一人で出歩く事など出来なかっただろう。まさかとは思うが……、」
杏「『子が出来ない体ならば他の男に何をされても 何もされなかったのと同じ』…などとは思っていないだろうな。どうもいつもと違う君の行動には自棄のようなものを感じる。」
そう言い当てられると桜は心臓が跳ねて上手く息が出来なくなった。
それが図星であって欲しくなかった杏寿郎は桜が瞳を揺らして自身の気持ちを自覚する様に眉を顰めた。
杏「ふざけないでくれ。」
杏寿郎は低く唸る様な怒りを孕んだ声を出すと桜の手首を掴んで大股で部屋に戻ろうとする。
「ま、待って…くだ、さ……っ」
桜はそれに抵抗した。
桜を苦しめている最も大きな問題はまだ別にあった。
―――産まれなかった者は産まれない、結ばれなかった者は結ばれない。そして、君。君は……、
(私はこの戦いで "死ぬ筈だった人" じゃない。私は戦いが終われば、役目が終われば、元に戻る場所がある。鬼舞辻を倒したら私は…元の時代の…あの川の底に戻る……。)