第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
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千「それってどういう……、桜さん…いなく…なっちゃうんですか……?なんで……、」
「ゆ、夢でね!夢を見て…………、それで………、」
夢を見る時間などなかったというのに桜が苦し紛れにそう言って抱き締めると、千寿郎は兄の鳩尾の穴を治療したであろう桜が傷を見て精神的に不安定になっているのだと思い 抱き締め返した。
千「大丈夫ですよ。きっと兄上も姉上もいなくなりません。鬼がいなくなったら皆でまたここへ来ましょう。」
それを聞いた桜は少し体を震わせた後 何も言わずに抱き締める腕に力を込めた。
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千「では、おやすみなさい。」
千寿郎は四人同じ部屋で寝られる事が大変嬉しい様子で頬を緩ませながら挨拶をした。
「おやすみ。暖かくしてね。槇寿郎さんもおやすみなさい。」
低くぶっきらぼうな声が返ってくると桜はくすりと笑い、布団に入った。
そして隣の杏寿郎を見つめる。
杏寿郎も二人に挨拶を済ませると槇寿郎と千寿郎に背を向けて桜を見つめる。
桜の頭を努めて優しく撫でたが桜は心地良さそうにするだけで口を開こうとしなかった。
杏「昨夜は寝てないんだ。疲れたろう。よく休んでくれ。」
「…はい。杏寿郎さんもですよ。おやすみなさい。」
そう言いながらも桜はまだ寝る気がないのか杏寿郎の髪を優しく撫で始めた。