第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
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煉獄家一行の部屋は家族用の大きな部屋を用意して貰い、寝室も一部屋にした。
そして夕方になって温泉に入ろうと決まった頃―…、
流石に今回は杏寿郎と共に風呂に入る訳にはいかない桜は、露天風呂ではなく自然と場所を知っている大浴場へと向かった。
そして杏寿郎は自身達から離れた方へ向かう桜に声を掛けようとしたが急かす槇寿郎に事情を話しているうちに見失い、なんとか探し出すも見つけた直後に暖簾をくぐらせてしまったのだった。
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(気持ちいい……。)
そう思う反面、体を洗う桜の心の中は相変わらずにぐちゃぐちゃに混乱していた。
蝶屋敷で隊士達の反応を見た。
それなのに杏寿郎の元を離れてしまった。
その事に今更気が付くも、すぐに『どうでもいい』という気持ちが生まれてくる。
体を洗った事で少し肌に刺激を受けると隣の男風呂で驚いた様な声が上がった。
(ああ、杏寿郎さんが言ってた色香ってほんとだったんだ…男風呂の人達に悪いことしたな……。)
女風呂から上がって暖簾をくぐると 風呂に入らなかったのか髪が濡れていない杏寿郎が困った様に眉を寄せながら腕を組んで待っていた。
それを見た桜は慌てて駆け寄る。
「ご、ごめんなさい!槇寿郎さんとは…?私…あの、体のこと忘れてて……、」
杏「問題ない。父上の酌は千寿郎に任せてきた。早く部屋を用意して貰おう。体が冷えてしまうぞ。」
そう言うと杏寿郎は優しく桜の手を握った。
「はい。」
桜は俯いて眉を顰めながらその手を優しく握り返した。
そんな桜の表情を盗み見た杏寿郎は再び困った様に眉を寄せたのだった。