第36章 任務同行
ユ『……噂といえば杏寿郎の噂もよく聞くぞ。茂雄と隆史からどんどん広がって今は杏寿郎がとても恐ろしい男だと皆言っている。』
それを聞いて二人は興味を持った面持ちになる。
「……どんな風に恐ろしいって言ってたの?」
ユ『茂雄は婚約者の桜という女に手を重ねられただけで命の危機を感じるほどの殺気を放たれたと言っていた。隆史は杏寿郎の嫁と目を合わせただけで酷い拷問を受けたと言っていたな。』
「そ、そこまで誇張したらかえって胡散臭くなっちゃうんじゃ…。」
ユ『皆 隆史の噂の方に食いついて縮み上がっていたぞ。杏寿郎はあの子等にとって特別なのか?』
それを聞くと代々炎柱を務める事を当たり前の様に思っていた杏寿郎は少し首を傾げた。
杏「確かにほとんどの隊士の上官ではある。だが拷問は隊律違反だぞ。」
ユ『そうなのか。隆史は少し浅慮なところがあるからな。だが嫁を溺愛しているという噂は杏寿郎が言った通りに正しく伝わっていたぞ。』
婚約者から嫁にまで変わってしまった事を知ると桜は少し居心地悪そうな表情をしたがすぐにハッとして杏寿郎に視線を向ける。
「では…『怒るとすごーく怖い炎柱さまのお嫁さん』という噂を利用して 皆にあえて顔を覚えてもらえれば危害を加えられる危険は少ないのではないでしょうか。」