第36章 任務同行
杏寿郎が念押しした事もあり桜が治療した隊士はきちんと約束を守っていたが、ユキは茂雄と隆史の任務に付いていく度に見えない姿になれる事を利用して戦闘中にも他の隊士をすぐに癒やし、その上 鬼が消えた後には姿を見せ会話までしていたのだ。
「このままだと私はユキの評判を下げてしまうよ。」
槇寿郎がいつまで経っても一ノ瀬家に行ってくれない為、桜と杏寿郎はしのぶが報せてくれた噂について話をしようとユキに会いに一ノ瀬家を訪れていた。
ユ『桜は姿を消せないのだから戦いの場で治せないのは仕方がない事だろう。』
元々口止めは桜の為だけに練った策であり ユキにとっては信仰の妨げになるものであった。
ユキは己を信仰してくれる者に必要とされればすぐに駆けつける事が出来、戦闘中では姿を鬼に見られる事なく治療が出来てしまう。
そして噂になればなる程一ノ瀬家を利用する者も増え それに伴って信仰者も増えた。
お館様はそれを見越し、杏寿郎と桜に以前助言した事が意味を持たなくなってしまうと分かりつつも ユキに口止めをさせるデメリットは大きすぎると判断した。
しかし、桜の抱える男についての問題を聞いていたが故に まず桜がどう解決しようとするのか様子を見ようと思っていたのだ。