第36章 任務同行
その先にあるのは支給された袴の丈には不釣り合いなローヒールのショートブーツだった。
桜が俯いたまま指摘された自身の髪を触っていると杏寿郎は手を伸ばし 親指で熱を確かめる様に赤い頬をすりっと撫でる。
杏「そうか。高い位置で結うと凛々しくも見えるな。こうして頬を染めてしまっては愛らしさが勝ってしまうが。」
杏寿郎はそう言って楽しそうに目を細めると赤いままの桜の手を優しく握って玄関へ向かった。
―――
杏「父上!!只今帰りました!!!」
「ただ今帰りました。」
そう言うと槇寿郎の自室の中からドタッと人が転ぶような音が響いた。
それを聞いて杏寿郎と桜は顔を見合わせる。
杏「父上……?」
既に門の方から響く二人の声を聞いていた為、槇寿郎も自室から出て様子を見に行こうとしていた。
しかし心配故か 近付く二人の足音に気が付けず、杏寿郎の大声を聞いて驚き尻餅をついてしまったのだ。