第36章 任務同行
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(き、緊張した……。他の人の擦り傷とかも全部治したいけど…。)
杏「桜!!」
唐突に声を掛けられてビクンッと体を震わせると杏寿郎が不思議そうに首を傾げる。
杏「君はユキの体に入っていても地獄耳ではないのだな。これをもらって来たぞ。食べてくれ。」
そう言いながら杏寿郎が差し出したのは先程一時だけ隊士に持たせた金平糖だった。
(確かに信仰が得られればすぐその人のところへ行けるから便利だけど 杏寿郎さんが用意した金平糖にあの人の信仰心は宿っているのかはとても微妙なところだなあ…。)
「い、いただきます…!」
そう言って口を開けると杏寿郎は舌の上に金平糖をそっと置く。
すると初めて信仰を得たときと同じ胸が満たされる様な感覚を覚え 桜は目を細めた。
「………成功、です。」
杏「そうか。良かった。」
桜が驚いた声を上げると杏寿郎は柔らかく微笑んでから隊士達に挨拶をしに行った。
(……杏寿郎さんはやっぱり強いんだなあ。他の隊士さんと比べるとよりよく分かる…。)
杏寿郎はお辞儀をする四人に助言と激励の言葉を送るとパッと体の向きを変えて再び桜の元へ戻ってきた。
杏「帰るぞ!!」
「はい!!」
そうして初めての任務同行は呆気ないほど何事も無く終えることが出来た。