第36章 任務同行
「お待たせしました!!」
杏「うむ!!では出発だ!!」
杏寿郎は桜の気合いの入った目を確認すると槇寿郎の部屋の縁側へ向かった。
杏「父上!行って参ります!!」
「行ってきます!!」
返事がない事に杏寿郎は僅かに眉尻を下げたが、部屋に向かってお辞儀をするとすぐに門へと向かった。
千「兄上、桜さん…、お気を付けて…!」
門まで見送りに来ていた千寿郎が不安を隠せない声を出すと桜は人の姿に戻って千寿郎を抱き締める。
「大丈夫。千寿郎くんのお夜食をとーってと楽しみにしてるから絶対に帰ってくるよ。」
優しく背中を撫でると千寿郎は肩の力を抜いて小さく頷いた。
それを確認すると桜はにこっと千寿郎に微笑んでから杏寿郎を振り返る。
「行きましょう!!」
杏「うむ!千寿郎、行ってくる!!留守は任せたぞ!!」
千「……はい!お任せ下さい!!」
―――
「………杏寿郎さん、何か気掛かりな事があるんですか…?気が付いた事があるのならなるべく情報を共有して欲しいのですが…。」
桜は耳を伏せながら隣を走る真顔の杏寿郎にちらっと目を遣った。