第36章 任務同行
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「……早速…でしょうか。」
杏「うむ。」
仮眠を終え 日が暮れかかった庭で鍛錬をしている二人の頭上に二羽の烏が旋回する。
ケ「北北東!!北北東!!森ノ中デ、隊員四人ガ…苦戦中!!」
要「応援ヲ必要トシテイマス。」
(応援…もう既に怪我してる人がいるかも知れないんだ……。)
杏「桜!支度が出来次第すぐに出るぞ!!」
「は、はい!!!」
桜は今朝受け取ったばかりの腕も通していない羽織りを取りに慌てて自室へと向かった。
廊下を小走りしながら振り袖を隊服に変え、リボンを使って高い位置でポニーテールにする。
(この姿を見せる事はないとは思うけど気合い入れとこう!!)
自室へ入るとすぐ衣紋掛けに走り寄り 裾が濃い紫色に染まっている羽織りを手に取った。
(最初は大人っぽくて意外な色だと思ったけど…、)
―――『燕子花で染めてある。花言葉は "幸運が来る" だ。人を癒やす君に相応しい花だろう!』
桜は今朝の杏寿郎の言葉を思い出して少し微笑むとすぐに羽織りに腕を通し ユキの姿に戻って庭へ走り出た。