第7章 炎柱様への提案
「杏寿郎さんを先に起こさなくて大丈夫だったの…?」
桜が心配そうに言うと、千寿郎はくすくすと笑った。
千「兄上はご飯が大好きなのですぐ起きますよ!それに普段から寝起きが異常に良いんです!」
それを聞いて桜は目を大きくした。
"そちらで待っていてください" 、と言うと千寿郎は杏寿郎を呼びに居間を出ていく。
(人間の姿で会うのは初めてだ…。)
振り袖が着崩れしていないか確認し、桜は少し緊張してこくりと喉を鳴らす。
(でもあの人は全然怖くないから…大丈夫……)
そう思いながらぽかぽかする体を思い返す。
そうこうしていると、
千「桜さん、入りますね。」
と声をかけられた。
若干 楽しみな気持ちも抱いた鼓動を抑え、桜はパッと顔を上げる。
「ど、うぞ。」
すると、サッと襖が開くのと同じタイミングで
―――ぽんっ
という軽い音がした。