第34章 緊急事態、柱合会議
それに桜は涙を浮かべたまま心底ほっとしたような笑みを二人に向ける。
杏寿郎はその笑顔を見た実弥の頬がほんの僅かに染まるのを確認して複雑そうなに眉を寄せると一度桜を掴む手を離した。
杏「口では異常さを説明出来ないだろう。」
桜は手を解放されるとすぐにしのぶの背に隠れ、顔だけ覗かせて杏寿郎を軽く睨んだ。
「ですから、男の人を避ければ良い話です!!」
杏「君はまだ色香を食らった男を俺以外で見た事が無い。軽視しているぞ。」
「そうですよ!きょ…煉獄さんしか異常と言っていないのですからそもそも本当に異常なのかさえ、…きゃあっ!!」
杏「宇髄ッ!!!!」
し「………っ」
話し合い前に聞いた "口付けの後に耳を触られただけで達する" 事が本当なのかどうかに興味が湧いた天元は桜をひょいと担いで塀の上に登り、易々と桜の唇を奪った。
それに桜は目を見開くとすぐに眉を寄せて天元の胸を強く押す。
そして杏寿郎が止めさせようと追ってくると天元は逃げるように塀から下り、杏寿郎が言った事をなぞる様に桜の耳に触れた。
しかし桜の様子は何も変わらない。
それを見た天元がつまらなさそうな表情を浮かべると桜は天元の手をパシッと掴んで自身にぐっと引き寄せるように力を込めた。