第34章 緊急事態、柱合会議
桜は暴力を受け易い体質への配慮についてはあまりにも個人的な願いだと認識しており、お館様を挟まずに自身が向き合い一人一人に頭を下げて回るべきだと考えていた。
一方、杏寿郎はもう一つの色香に関わる体質の説明をお館様にさせる訳にはいかないと考えていた。
つまり、桜は男性が苦手であると言えば回避出来ると考えていた為に色香については柱達に知らせる気が元より無かったのだ。
しかし柱達の前で放った先程の杏寿郎の言葉から杏寿郎がもう一つの体質について明け透けに説明しだしてしまう可能性が浮上した。
故にそれに気が付いた桜は何とか上手いこと言って遮ろうと口を開いたのだが何も浮かばず、只々冷や汗を流す羽目になったのだ。
そんな桜の様子を見た杏寿郎は何を思ったのか柔らかく微笑み、安心させるように桜の頭を撫でる。
しかし桜はその笑顔が信頼出来ない事を学んでいた。
杏「うむ。実はもう一つの体質があってな、桜は異常なほど容易く欲じょ、」
「わああああああっっ!!!わー!わーっ!!」
予想通り槇寿郎の時と同じ様な説明をしだした杏寿郎の言葉を掻き消そうと 桜は人生でたった二度目の全力の大声を出した。
それに過剰に反応した天元は耳を塞ぎながら額に青筋を浮かべる。
天「るっせェェッ!!突然叫ぶな!!!」
「ご、ごめんなさい…!でも…、杏、煉獄さん本当に待ってください!それは伝える必要が無いと思います!!」
その酷く慌てた様子に杏寿郎は一度目を大きくさせたが、赤い顔を見て恥ずかしがっているだけだと判断すると頭をぽんぽんと宥める様に撫でてから再び皆に向き直った。