第7章 炎柱様への提案
遅くなってしまった分を巻き返そうと、二人は広いお屋敷を急いで掃除した。
洗濯物と布団を干し終えた頃にはお日様はてっぺん近くまで昇り、お昼が近いことを知らせていた。
「ふうっ!達成感があるね!」
そう言って桜が千寿郎に笑いかけると、千寿郎は珍しく眉をキリッとさせる。
千「まだ昼餉の支度が残ってますよ!」
"付いてきて下さい!" と言いながら千寿郎はタタタッと走り出す。
気が緩みかけていた桜もそれに慌てて付いていった。
だが、付いてきたのはいいものの、桜は自分の知っているものと大きく違う台所を見て固まってしまった。
(か、かまど…?知識はあったけど実際に見たのは初めて…。)
桜は、自分を忘れて慌ただしそうにする千寿郎を見て眉尻を下げた。
(力になりたいけど、焚き火さえした事ない…。火の調節を上手くできる気がしないや…。)