第34章 緊急事態、柱合会議
「私から話します。」
杏「いや、俺に任せてくれ。皆はユキ…癒猫様が溢した言葉を覚えているだろうか。不死川は少し見たと思うが、桜は暴力を振るわれやすい体質だ。」
天「暴力を振るわれやすい体質?それを言うなら性格だろ。」
杏「体質だ。桜は七歳から八年間、家の近くにある学校の男子学生から暴行を受け続けた。決まった男という訳ではない。異常な人数を聞いただろう。五年間で既に三桁に達している。つまり少なくとも一ヶ月に一人以上の新しい男が桜を、」
「私に暴力を振るうと少し気分が高揚する方がいるようです。ですがそもそも振るいたいと思わない方もいますし、癒猫様の姿を借りていれば問題はありません。念の為 伝えておこうと思った次第です。」
杏寿郎は桜が事の深刻さを自分からは正確に伝えない可能性がある事は分かっていた。
だからこそ "代わりに伝える" と名乗り出たのにも関わらず、横からそのような事を言われた挙句勝手に締めくくられては流石に眉を顰めざるを得なかった。
桜はその様子を見て只々困ったように微笑む。
「茂雄さん隆史さん、柱の皆さん…こんなに連続で怖くないと感じる男性に出会えているんです。鬼殺隊の方ならどなたでも怖く感じない可能性が高いかと…。頼れる人が他にもいるのなら柱の方には少し気に掛けてもらえるだけで十分心強いです。傷を負っても治せますし。」
それを聞いたしのぶと実弥は事を把握しきれてはいなかったが眉を寄せ、蜜璃は杏寿郎の顔を見て心配そうな戸惑っているような表情を浮かべた。