第34章 緊急事態、柱合会議
行「不死川。」
実弥は行冥に窘められると義勇に舌打ちをしてから顔を背け、それを確認した杏寿郎はすぐに実弥を解放した。
そして行冥はまるで見えているかのように泣きながら騒ぎの中心に居た面々に顔を向ける。
行「私はあまり似ていないと思う。顔は似ているのかも知れないが、背丈も纏う空気も違う。」
行冥がそう言うと自然と桜へと視線が集まる。
それを受けると桜は困ったように眉尻を下げて微笑んだ。
し「私も初めは年下の姉が居る様で驚きましたが、会議前に姉とは似つかない表情を見て動揺が消えました。今の表情は少し…似ていますが…。」
『 "年下" の姉』という言葉はとても気になったが、桜はその時初めてしのぶの本当の笑顔を見た気がして言葉を詰まらせた。
一方、杏寿郎は集まった顔ぶれを見ると呆けた様子の桜の肩に手を乗せて我に返らせる。
杏「呼ばずとも集まった、これを逃す手はない。今話しても良いか。」
それにハッとした桜が頷くと杏寿郎は芯の通った声で話し始めた。
杏「話の腰を折ってしまい大変申し訳無いのだが集まれている今、桜との任務について柱にだけ共有しておきたい事がある!頼む、聞いてくれ!!」
杏寿郎はそう言うと一度輪の外に出て無一郎をひょいっと猫のように抱いて連れてくる。