第34章 緊急事態、柱合会議
「あははっ!宇髄さん、すっごい上手です!!」
桜はそう言いながら録画に切り替えると天元を暫く録ってから伸ばしていた手を自分等に近付けた。
そして再び録画を始め、固まっている杏寿郎の頬を優しく突付いて微笑む。
すると杏寿郎は我に返り、じっと桜を見つめた後何かを企むような楽しそうな顔になった。
「……杏寿郎さん…?」
その不思議そうな声を聞くと杏寿郎は羽織りの左右の端を掴んで桜の体を隠すように包み、呆けている隙に口付けた。
―――カシャーンッ
桜は驚いてスマホを取り落とし、顔を赤くして手の甲を口に付けたまま杏寿郎に泣きそうな顔を向ける。
杏寿郎は笑顔のままとどめに額にも口付けを落としてから桜を解放し、スマホを拾い上げた。
杏「落とさせてしまったな。すまない。」
桜は目を伏せたままスマホを受け取ると録画を停止させた。
「こういう所では特にだめです。お家でだけにして下さい…。」
杏「うむ、努力しよう!今は何の操作をしたんだ?」
「今のは動く画を記録していたので……止めま、した…。……み、見せませんよ!!」
桜が自身の失言に再び真っ赤になると杏寿郎は易々とスマホを取り戻し、桜の見様見真似で画面をトンッと指で触り再生させた。