第34章 緊急事態、柱合会議
「まず紹介をさせて下さい。こちらは癒猫様と呼ばれている怪我や病気を癒やす神様…の様な存在です。元々は神様で、以前…二十年程前に藤の花の家紋の一ノ瀬家にて治るはずのない怪我を無理に何度も治していました。その結果に雷を落とされてしまい、今は信仰する者も私の一族以外に殆どいません。」
「その為 神社周辺から離れられません。ですが信仰さえされれば その人には付いていくことが出来ます。」
そう言うと桜はユキとお館様を見上げる。
(その為に来たんだよね…?)
桜が自身の胸に集中し、そう問うとユキは頷いた。
ユ『信仰をしてくれと無理に頼むつもりはないが、私は戦いの場へ行き人を助けたい。そして桜の事も守りたい。というのもこの子は使命の為、柱とやらと共に……、』
そう言いながら柱達を見渡すと実弥の腕の傷を見て目を細める。
ユ『桜、あの子の傷は放っておいている理由があるのか?』
「あ…忘れてた……。」
ユキはその返しに軽く叱るように鼻先で桜の頬を突くと トンッと庭へ降り実弥の前に座った。
ユ『自分で傷付けたのか。』
不可解そうな声を出しながらユキが優しく慈しむ様に実弥の腕を撫でると傷は一瞬でなくなった。