第34章 緊急事態、柱合会議
館「よく来たね、私の可愛い剣士(こども)たち。」
お館様を前にすると荒れていた場は嘘のように静かになり、皆揃って頭を下げた。
それを見て桜も柱達の後ろから頭を下げる。
頭を上げて再びお館様を見ると桜は一瞬笑い掛けられたように感じ、ピンッと姿勢を正した。
それから炭治郎の処遇についてお館様が "許す" と言い、更に人の命が三つも懸けられていると聞いた桜は完全に話がついたと思ったが、それでも尚引き下がらない柱が複数いて瞳を揺らした。
(あの人…一体どんな事を経験したんだろう……。)
桜は女の子の鬼に血濡れた自身の腕を差し出す男を見つめながら "自分はこれから別世界に踏み込むのだ" と実感したのだった。
そして傷を治す隙もなく連れ去られていく炭治郎を見送ると、桜はお館様が再び自身を見た気がして喉をこくりと鳴らした。
館「桜。おいで。」
その声に柱九人が振り返ると桜は流石に酷く驚いたが それを気取られないように気を付けた。
「はい。」
桜が挨拶をしそびれた二人の柱は目を見開いていたが、お館様の手前である為か一切声を出さずにいる。
桜は緊張しながらも頼りなく見えないように口をきゅっと結び、姿勢を正して歩いた。