第34章 緊急事態、柱合会議
(…そんな素直なところも好きだけど……!)
顔を逸らした桜に天元は却って楽しそうに目を細め再び顎に手を伸ばした。
その時―――、
―――ヒュンッ
「………………っ…!!」
桜が突然吹いた強い風に目を瞑るとすぐ隣から静かな声が聞こえた。
し「桜さんは煉獄さんの婚約者だと聞こえたのですが、宇髄さん…これはどういうつもりでしょう?」
その声に桜が目を開けると、しのぶが天元を牽制するような目で見上げながら桜を片手で庇っていた。
(…わ、わわ……かっこいい…!!猫が苦手なら私と距離を置きたかっただろうに…正義感の強い女の子なのかな……。)
一方、杏寿郎は風を感じつつもお願いを律儀に守っていたが、しのぶの言葉を聞くとすぐに目を開いた。
そして桜の手首を掴む天元を見るとぐっと眉を顰める。
杏「宇髄ッ!!!!」
天「何もしてねーよ。知り合いに似てる気がして顔を見ようとしただけだ。」
露骨に面倒くさそうな声でそう言うと 天元は剥がされるより前に自らパッと手を離した。
それに杏寿郎としのぶは眉を寄せる。
一方、当の桜はまだしのぶに見惚れていた。