第34章 緊急事態、柱合会議
杏「むぅ。何故止める。おかしな事をするつもりは無かったぞ。」
桜は杏寿郎に言葉を返すより前に周りの目が自分等に向いている事を確認すると真っ赤になって眉尻を下げに下げ、泣きそうな顔になる。
「杏寿郎さん……もう…このまま暫く動かないで………。」
その懇願するような声に杏寿郎は一度首を傾げたが、すぐ素直に頷くと腕を組んで目を瞑った。
一方、一連の流れを見ていた蜜璃は嬉しそうな小さな悲鳴を上げる。
蜜「伊黒さん、しのぶちゃん!私、し…煉獄さんのあんな顔初めて見たわ…!!それに桜ちゃんが人の姿になるなんて!とっても可愛いわ!!」
小「……俺も…煉獄のあのような表情は初めて見た。」
そう驚く二人の横でしのぶは酷く動揺したように目を大きくさせて瞳を揺らしていたが、赤く余裕のない桜の表情を見ると何も言わずに眉尻を下げ 柔らかく微笑んだ。
杏寿郎達の様子をずっと近くで見ていた無一郎は再びぼーっとした様子に戻ってしまって空を見上げ、天元は楽しそうな笑みを浮かべながら杏寿郎の顔を覆う桜の手首を掴んだ。
「わ、ぅ……、」
自身より五十センチも大きい大男に呆気に取られ言葉を失う桜の顎を天元はもう片方の手で掴み、興味深そうにじっくりと眺める。
桜は天元の手から逃れるように慌てて顔を背けて杏寿郎を見たが、当の杏寿郎は桜のお願いを忠実に守って目を瞑ったまま腕を組んでいた。