第34章 緊急事態、柱合会議
「もっとやんちゃな子でしたが見た目も声も…それから優しい笑顔もそっくりです。」
杏「俺は時透の笑顔を初めて見たぞ。父上に引き続き君は人の笑顔を引き出す才があるようだな。」
それを聞くと桜は槇寿郎のような手強さを全く感じさせなかった無一郎に驚いたような大きな目を向ける。
無「みのるって誰?今はいないみたいな言い方だけど。」
「…みのるは私のとっても大事な弟で……死んじゃったので今はいないんです。」
杏寿郎は そう落ち着いたまま答える桜を見ると、弟の夢を見て夜中に恋仲でもない自身を頼った桜の弱々しい瞳を思い出して目を細めた。
それに気が付くと桜は杏寿郎に柔らかく微笑みかける。
「もう平気ですよ。………杏寿郎さんのおかげです。」
そう小さな声で "杏寿郎" の名を付け足すと杏寿郎はパッと明るい笑みを浮かべた。
杏「そうか。やっと俺をちゃんと呼んでくれたな。」
そう言って杏寿郎が愛おしそうな笑みを浮かべながら甘く触れようとした為 桜は驚いてその特別な表情を隠すように杏寿郎の顔に両手のひらをペチッと当てた。