第34章 緊急事態、柱合会議
天「逆にちゃんと売ってないってどんなだよ。」
杏「俺の家の近くの街は置いている量が明らかに少ない。このまま買い占めていては噂が立ちそうだ。」
その会話を聞かないように桜は耳を出来るだけ伏せながら行冥の数珠の音に集中するように目を瞑っていた。
(ユキみたいに耳を使いこなせていないくせに この距離だと聞きたくない声も聞こえてしまう…どうしよう、止めに行くか、見ないふりをするか…。)
そう思いながら何気なく ちらっと横を見ると、しのぶと蜜璃と小芭内は一纏まりになっており、しのぶは辛うじて笑みを保ちつつ自身の耳を押さえ、蜜璃は真っ赤になりながら小芭内に耳を押さえられ、話を聞きざるを得なくなっている小芭内は桜を凄い形相で睨み付けていた。
その鋭い視線を浴びると桜は泣きそうになりながら頷く。
(私が止めるしかない……。)
―――
天「はぁ!?二十!?…絶倫にも程があるだろ…引くわー……。」
杏「ゼツリン?」
「ぜつりん?」
その知らぬ単語に厭らしい響きを感じなかった桜が首を傾げながら思わず会話に加わると小芭内は額にメキメキッと青筋を浮かべた。
しかし再び人の気配を察知するとすぐに目を入り口へ向ける。