第34章 緊急事態、柱合会議
桜が困ったように杏寿郎を見上げると 杏寿郎も口を開こうとしたが気が逸れたようにスッと庭の入り口に目を向ける。
「…………?」
女「はぁ…っ!!良かった…!違う道を通ったら迷子になっちゃって…遅刻しちゃうかと思ったわ…!!」
走ってきたと思われる どこか抜けているような柔らかい女の子の声が響いたおかげで、気まずい空気がガラッと変わった。
「わ………またすっごく可愛い子……!!」
桜が思わず嬉しそうな声を上げると女の子は目を見開き 口元に両手を添えてふるふると震える。
その視線が自身が千寿郎へ向けているものと似ている様な気がした為 桜は彼女の反応は好感からくるものであると直感した。
そして自身への好ましい反応に飢えていた桜は軽く走りながらその女の子の元へ寄り、前に座ると嬉しそうに こてんと首を傾げる。
「はじめまして!一ノ瀬 桜と申します!今日はお館様に呼ばれて来ました!!よろしくお願いします!」
そう言ってふわっと尻尾を揺らすと女の子は ぽぽっと頬を赤らめた。
蜜「わ、わたし甘露寺蜜璃といいます!大きな猫さん…それにお話しも出来てとっても神秘的な雰囲気……。私こんなに綺麗な猫さんを初めて見たわ!真っ白な長い毛も ふさふさした尻尾もとっても素敵ね!!」
それを聞くと桜は目を大きくして心底嬉しそうな声を出す。