第34章 緊急事態、柱合会議
杏「分かった。髪を結うぞ。」
心境の変化の理由が分からなかった桜は戸惑いながらも何も問わずに頷き、姿勢を正して任せるように目を瞑った。
杏(……しっかりと残っているな。)
杏寿郎は昨夜桜が余裕を失くした際に分かられない様に気を付けながら項にしっかりと噛み跡を残していた。
それを確認してほっと息をつくと桜の髪をハーフアップに結いリボンを付ける。
そうすると噛み跡は隠れてしまうが、杏寿郎はそれでも確認をしたかったのだ。
杏「結えたぞ。今日も良く似合っているな。愛いぞ。」
杏寿郎はそう言うと初めて付けてもらった時と同じ様に少しだけ振り向いてリボンとはにかむ顔を見せる桜に目を細めた。
―――
「行ってきます!!」
杏「留守を頼むぞ!!!」
支度が出来てすぐ、ユキの姿の桜とそれを担ぐ杏寿郎が大きな声を出すと千寿郎はなんとか微笑みを返して頷く。
千「はい!道中お気を付けください!!」
それに二人も微笑みを返すと屋敷を発って産屋敷邸へと向かった。