第34章 緊急事態、柱合会議
杏「心配するな。他の隊士には黙って接すれば良い。」
桜の演技の練習は 一ノ瀬家に泊まってユキを信仰してくれた隊士と任務で接する時の為であった。
その際 桜があまりにも親しみやすい態度を取れば、受け取る側にもよるが信仰が揺らいでしまう可能性があるのだ。
桜は杏寿郎に頭を撫でられると眉尻を下げて微笑み、胸に顔を埋めて目を瞑った。
杏「桜。」
「だめです。」
杏寿郎の熱を孕んだ声に桜は食い気味に諌めるような声を返した。
そして誘いを断られて一分も経たないうちに本当に小さな寝息が聞こえ始めると杏寿郎は目を見開く。
杏「……桜?本当に寝てしまったのか。昨夜もお預けだったのだぞ。」
杏寿郎はそう不満に思いながらもきちんと小さな声を掛けた。
反応がないことに眉を寄せながら肩を掴んで体を少し離すと桜は無防備な顔で気持ち良さそうに寝ている。
杏「むぅ。」
相手が寝てしまっては真面目な杏寿郎は手を出せない。
杏寿郎は諦めると桜を抱き締め 額に青筋を浮かべて欲を抑えようとぎゅっと目を瞑った。