第33章 準備期間
杏「君らしくないな。」
そう低い声で言うと桜をパッと解放し、手早く布団を敷く。
杏「おいで。俺は見廻りに備えて夕餉まで仮眠を取る。君も寝れてないんだ、少し体を休めると良い。」
それにこくりと頷くと桜は襦袢姿になって杏寿郎の隣に入った。
すると杏寿郎はすぐに桜を優しく抱き寄せて落ち着かせるように頭を撫でる。
杏「嫉妬が無くならないなどという小さな理由で君から離れるつもりはないぞ。君と俺は対等で、好き合っているから一緒にいる。俺は君を心底大事に思っている。心底愛おしいと思っている。君がその様な我慢をしなくとも傍に居る。よく覚えておいてくれ。」
そう言いながら杏寿郎が桜の指輪をすりっと撫でると桜はハッとして目を大きくさせた後 思い切ったように顔を上げ、目を固く閉じたまま杏寿郎にそっと口付けた。
そしてすぐに杏寿郎の胸に隠すように顔を埋めるといつもの恥じを含んだ声色を出す。
「私も………私も、杏寿郎さんの事を心から愛しています…。」
杏寿郎はその声にパッと顔色を明るくさせると無理やり桜の顔を上げさせた。