第33章 準備期間
「温泉旅館ですし、あまり気構えずに行ってみてはどうですか?そしてついでにユキに餌付けを…。」
槇「…餌付けという表現は失礼だ。俺に信仰させる気はあるのか?それに歓迎されると分かっていて行くのはどうも気が引け、」
「露天風呂。あるんですよねえ…。冬に温泉の露天風呂に浸かりながらお酒飲んだら最高だろうなあ。」
そう言うと槇寿郎はぐっと眉を顰めて口を噤む。
対して杏寿郎は驚いた顔をした。
杏「そのようなものがあったのか。」
「はい!中庭のある本館から渡り廊下で繋がる別館…私達が泊まった建物からもまた廊下が続いているんです。本館からも直接行ける造りになっていますが、そこに露天風呂があります。桜や紅葉も植わっていて春と秋も売りらしいですよ!」
杏「それは良いな!!是非また行きたい!!!」
それを聞くと槇寿郎は眉を寄せる。
槇「杏寿郎。居心地悪くはなかったのか。その見た目では名乗らなくても俺の息子だと分かられただろ。」
杏「はい!息子だと何度言っても皆に煉獄様と呼ばれるので少し困りましたが気にしない事にしました!!」
「杏寿郎さんだって昨夜 鬼に攫われていた当主の奥さんを連れ戻したじゃないですか。」
槇「また鬼に…?お前の一族は妙に鬼と縁のある一族だな…。」
「あはは…。ですが同時に煉獄家にも縁のある一族でもあります。」
桜がそう言って微笑むと槇寿郎は居心地悪そうにした。