第33章 準備期間
槇「お前ら…まさか……、人の家で…いや、旅館だが…しかし桜の…、」
「さ、昨夜鬼が出たんです!!!」
桜は槇寿郎の問いたい内容を察すると慌てて嘘ではない事を言って誤魔化す。
槇寿郎はそれでも怪しむような目をしていたが小さく息をつくと 知らない方が精神的に良いと判断して追求を止めた。
槇「それで…癒猫様はいらしたのか。」
それを聞くと杏寿郎はユキに頼まれた事を思い出してハッとする。
杏「はい!!その事で父上に頼みたい事があります!癒猫様を信仰して頂けないでしょうか!信仰者でない者には付いていく事が出来ないようで父上か千寿郎に是非して貰いたいと頼まれました!!」
槇寿郎はその言葉に目を大きくして体を揺らしたが すぐにハッとすると困惑したように眉を顰めた。
槇「信仰って具体的には何をすれば良いんだ。……行かねばならないのか。」
さも行きたくなさそうに言われて杏寿郎と桜は顔を見合わせる。
二人は少し困った顔をしたが 桜は以前街で自身が一人信仰者を得られたときの事を思い出してパッと槇寿郎へ視線を向けた。
「街でご飯を貰ったとき、わたし信仰されました!!」
槇「お前信仰されてるのか!」
槇寿郎は驚いた声を上げると皮肉めいたものではないおかしそうな笑顔を浮かべる。
それは小さく、すぐ消えてしまったが桜は嬉しそうに微笑みながら頷いた。