第33章 準備期間
千「兄上!姉上!お帰りなさい!!」
"日が傾きかけた中" 、門の外を掃いていた千寿郎は桜を抱いた杏寿郎の姿を確認すると箒を手放し満面の笑みを浮かべて駆け寄ってきた。
既に綺麗に掃かれてある事から千寿郎は二人を待つ為だけに外に立っていた事が分かった。
桜は腕から下ろしてもらうと杏寿郎に礼を言ってから走ってきた千寿郎に向かって走り、受け止めるように抱き締める。
「昨夜は帰らなくてごめんね。何事もなかった…?槇寿郎さんに意地悪されなかった…?」
そう問いながら桜は心配そうに腕を回した千寿郎を見上げた。
千「父上と一緒に食事をしました!!」
「え!ほんと!?」
"自衛をするなら男と好きに関わって良い" と杏寿郎が許したことをしっかりと覚えていた桜の行動に杏寿郎は眉を寄せるも何も言えず、遅れて二人の側に寄った。
そして二人を丸ごと包むように桜の後ろからガッシリと抱き締めてその頭に顎を乗せる。
「杏寿郎さん…千寿郎くんの前では、」
杏「千寿郎、只今帰った!!留守番ご苦労だった!!!」
その杏寿郎の笑顔と二人の仲睦まじそうな様子に千寿郎は花咲くような笑みを浮かべ、杏寿郎はそれを見ながら桜の耳元に口を寄せて小さな声を出した。
杏「君も俺に許しをくれても良いのではないのか。」
桜はそれを聞くと赤くなって何も言い返さなくなったのだった。