第33章 準備期間
予想外の言葉に杏寿郎は目を丸くさせたが、桜の気持ちを汲むと柔らかく微笑む。
杏「気にするな!確かに炎柱の名は俺だけのものではなく煉獄家の誇りでもあるが その重さを理解した上での決断だ。そしてこれを咎める男は歴代の炎柱にいないと俺は信じている!!」
「………私も……そう信じます!!」
桜は顔を上げると目を瞑ってしっかりとした声を出した。
杏寿郎は その何かと戦うような眉を寄せた表情に思わず笑うと片手で抱き直して頭を撫でた。
「あともう一つ訊きたいことが…。ご友人の事で嫌なことを思い出したって言ってましたよね?あとで話すと…。何ですか??」
そう問うと杏寿郎の柔らかい笑顔はどこを見ているのかわからない笑顔に変わってしまった。
杏「……君のその姿を柱の皆には見せざるを得ない。しかし宇髄は君に興味を持っていたのでな…四人目の嫁に考えるとも言っていた。」
「…ふふ。それ絶対にからかわれてますよ。」
杏寿郎は桜の心底おかしそうな笑顔にむっとした顔を向ける。
杏「何故そう言い切れる。君は彼を何も知らないだろう。」
「ウズイさんも私の事を何も知らないです。そんな状況でお嫁さんにだなんて…もしかして面白い事が好きな方なのではないですか??」
その言葉に思い当たる節があった杏寿郎は少し眉を寄せるも黙った。
それを見ると桜は杏寿郎の嫉妬が可愛らしくて柔らかく微笑む。
「どちらにしろ私は杏寿郎さんの事しか見れませんから関係ありません!早く帰りましょう。千寿郎くんのお昼ご飯を食べたいです!」
杏寿郎はそれに太陽の様な笑顔を向けると桜をしっかりと抱き直してスピードを上げた。