第6章 未来の鬼と大正の鬼
「ヴァンパイアみたいな感じかしら…。」
雑巾を持ったまま桜が首を傾げると、千寿郎も大きく首を傾げた。
千「ゔぁん……」
鬼はとにかく日光に弱いらしい。
また、日輪刀と呼ばれる日の力を蓄えた金属で作る刀を使っても倒せるそうだ。
「弟は剣道やってたけど、私は剣とか全く縁がないなあ…。」
ほとんど千寿郎が終えていたため広いお屋敷の床拭きはすぐ終わった。
ふーっと息を吐き、今度は窓を拭こうとして立ち上がる。
無意識に呟いた "弟" というワードを聞いた千寿郎は少し顔を明るくさせた。
千「弟さんの記憶があるのですか?」
窓へ向かおうとしていた桜は、その言葉に肩をビクッと震わせて固まってしまった。
大きな瞳は酷く揺れている。